NetSuiteの中小企業への訴求ポイント – NetSuite国内事業戦略から –
日本オラクル株式会社は2023年11月13日、クラウドERP「Oracle NetSuite」の事業戦略説明会を開催し、さらなる中小企業への展開へ向け、同事業へてこ入れを行ったことを説明しました。
これまでNetSuiteを含む多くのERPは、主に中堅規模以上の企業をターゲットとして導入が行われてきました。一方で、一定規模以上の企業であれば、事業成長と共に複雑さを増すExcel管理・運用に限界を感じ、これまで以上に統合された基幹システムへのニーズは高まってきています。
それでは、なぜ中小企業への導入があまり進まないのでしょうか。一番大きな要因は価格にあるものの、それ以外にも日本でのERP導入を進めるために必要ないくつかのポイントがあると考えます。
日本オラクル社の「Oracle NetSuite」事業戦略における発表を基に、同社の説明する「中小企業への訴求ポイント」からその理由を概説します。
Oracle NetSuiteの特徴や詳細については、こちらも参照ください。
導入・運用サポート強化(パートナー販売チャネルの強化)
多くのERPパッケージ、特に外資系のERPパッケージにおいては、「相談の敷居が高い」「言われるままの導入となり導入・開発ベンダー検討ができないのではないか」「導入・運用におけるサポートが不安になる」といった印象があるのではないでしょうか。
NetSuite事業統括カントリーマネージャーの渋谷由貴氏は、事業形態のてこ入れに関して以下のように述べています。
「当社はこれまでのOracleからの直販で提供してきた。しかしながら、パートナー経由での販売を強化するなどの事業てこ入れにより、日本の中小企業のお客様に利用して頂くことができるようになった」
同社NetSuite事業においては、これまでの販売形態を大きく変え、Oracle社直接の営業スタイルから、パートナー企業(弊社ハイブリィド株式会社のようなソリューションプロバイダー)による販売へシフトしていく、という戦略変更を行いました。
これにより、そもそもの導入是非検討や業務相談から、適切なライセンス購入、柔軟な構築、運用後の丁寧なサポートといった対応が1社による一気通貫で行え、中小企業が抱える不安点を大きく解消することが期待されます。
シンプルなアーキテクチャ
これまでの一般的なERPにおけるアーキテクチャは、人(HCM)・モノ(SCM)・金(ERP)を管理する機能が個別に開発され、それらを結合することで機能全体を構成しています。結果、ERPと言いながらもデータモデルがそれぞれ存在するケースも多く、仕組みとして複雑になり、多額のコストがかかる要因の1つになっていました。
NetSuiteでは、当初よりシンプルなシングルデータモデルとして1から設計・開発されている真のクラウドERPであり、1つの仕組みの中で全ての機能が包含されています。値段体系も非常にシンプルで、月額使用料の中に、ラインセンス費用、サーバー等各種運用費用、製品サポート費用、税制対応やセキュリティ等アップデート費用、定期的な機能追加、といった一連のサービスが全て包含されています。
日本オラクル取締役執行役社長の三澤智光氏は、NetSuiteの特徴として以下のように述べています。
「NetSuiteは、中小企業で利用されることを想定し、ERP、SCM、HCMを統合したデザインとなっている。大企業では財務、購買、人事といった部門がそれぞれ存在するのに対し、中小企業では部門がきちんと分かれておらず、リソースが非常に限られていることが多い。全体として中小企業が導入しやすいシンプルなアーキテクチャとなっている」
日本向け対応
日本におけるERP導入においては、日本ローカル業務対応・法令対応も非常に重要なポイントになります。
中小企業においては特に、これらに個別対応するリソースやノウハウはなく、ERPパッケージ側で対応がなされることが求められます。
今後のNetSuite中小企業展開強化においては、以下のような機能追加がなされます。
「適格請求書等保存方式対応の請求書」「クレジットメモ、現金売上帳簿テンプレート」「締め請求書の帳票テンプレート」「電子帳簿保存法対応」「消費税申告準備機能」「日本向け財務諸表フォーマット」「締め請求書」「手形」等。
これらは中小企業はもちろん、企業規模問わずに非常に有用な機能と考えます。これらの機能追加により、外資系パッケージにおけるデメリット(日本ローカル対応不足)が、完全ではないものの徐々に解消されつつあるのではないでしょうか。
まとめ
NetSuiteはグローバルでは37,000もの導入企業があり、非常に実績が豊富なクラウドERPです。
今回の日本オラクル社の「Oracle NetSuite」国内事業戦略発表を受けて、中小企業における日本展開も日々拡大していくものと考えられます。
今後も引き続きNetSuite事業戦略、製品開発情報をウォッチしていきたいと思います。
Oracle NetSuiteの特徴や詳細については、こちらも参照ください。